蕁麻疹(じんましん)
について
蕁麻疹は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、短時間のうちに消失する皮膚疾患です。
赤みやかゆみ、時にはチクチク・ヒリヒリした痛みを伴うことがありますが、数十分~1日のうちに消失します。また、赤みが出ずに瞼や唇が腫れたり、喉の詰まり感、飲み込みにくさ、息苦しさなどの症状が出たりすることもあります。症状は1回だけ出ることもあれば、数日以内に落ち着くケースもあり、蕁麻疹が出たり消えたりするのが何週間も続く場合もあります。1か月半以上も蕁麻疹が治まらない場合は「慢性蕁麻疹」と呼ばれ、数年間も長引いてしまうこともあります。
蕁麻疹が出る原因
蕁麻疹の原因・誘因
となる物質について
蕁麻疹は、食物などのアレルギー反応として起こったり、圧迫、発汗などの刺激によって発生したりすることがあります。ただし、このように原因が明確できる蕁麻疹は全体の10~30%程度で原因がはっきりと特定できないものがほとんどです。
成人の場合は、お仕事や家庭などでのストレス、睡眠不足なども原因・誘因となり得ます。また、子供でも、保育園や学校でのストレス、風邪などが原因で蕁麻疹ができることもあります。
蕁麻疹の原因・誘因について | |
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食べ物 |
など |
食品添加物 |
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植物・昆虫 |
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お薬 |
など |
物理的な 刺激 |
など |
その他の 影響 |
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食物によって蕁麻疹が出ている可能性が高い場合はアレルギー検査を、薬剤によって蕁麻疹が出ている可能性が高い場合は薬疹の検査を受けることをお勧めします。
蕁麻疹のタイプについて
蕁麻疹のタイプは複数あり、以下のようなものが存在します。
急性蕁麻疹
発症から6週間以内に治まる蕁麻疹です。ほぼ毎日のように繰り返し出るのを特徴とします。主な原因は細菌やウイルスによる感染です。
慢性蕁麻疹
発症から6週間以上経過している蕁麻疹です。ほとんどの場合、原因を見つけることができません。
物理性蕁麻疹
皮膚表面の摩擦や圧迫、熱さ、寒さ、紫外線、振動などの物理的刺激によってできる蕁麻疹です。
コリン性蕁麻疹
お風呂や運動などで汗をかくとできる蕁麻疹です。皮膚の膨らみは1~4mm程度で、比較的小さめです。子供から若年層の方によく見られます。
アレルギー性蕁麻疹
食べ物やお薬、昆虫などに含まれるアレルゲンに反応して起こる蕁麻疹です。アレルゲンに結合する血清蛋白である「IgE」が関わっているとされています。
イントレランス
IgEが関与しないタイプの蕁麻疹です。アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬や色素、造影剤、食品に含まれるサリチル酸などによって引き起こされます。
血管性浮腫
(クインケ浮腫)
唇や瞼が突然腫れる病態です。かゆみを伴わずに2~3日で消えます。稀に、遺伝性のものとして起こることもあります。
アナフィラキシー
アナフィラキシーは、体内に入った物質によって全身に引き起こされる、激しいアレルギー反応です。蕁麻疹や喘息様症状、血圧低下などが起こります。症状が現れた際は、直ちに救急外来へ受診してください。
食物依存性運動誘発
アナフィラキシー
(food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIA)
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)は、特定の食べ物を摂取した後に運動することで起こるアナフィラキシーの一種です。アレルゲンの腸からの吸収が運動によって増加するために起こるのではないかとされています。
中学生から青年期に多く見られ、食後2時間以内に運動した時に発症します。発症頻度は中学生の場合、約6,000人に1人とされており、初回に発症する年齢のピークは10~20代とされています。
原因となる食物で特に多いのは、小麦や甲殻類(カニ・えびなど)、果物です。症状が現れた場合は、迷わずにアレルギー専門医が在籍している医療機関へ受診してください。
原因を特定することが重要ですので、まずは当院へご相談ください。
蕁麻疹の治療方法
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の服用を行います。また、塗り薬を使用し、爪でかかないようにすることもあります。急性蕁麻疹は通常数日のうちに解消しますが、なかなか治らない場合は慢性蕁麻疹が疑われ、その場合は治るまである程度の時間を要することもあります。原因が見つかった場合は、その物質を避ける生活を送るようにしましょう。
その他生活に関して
気を付けた方がいいこと
蕁麻疹ができている部位をかかずに、冷やしてください。冷やすと症状が軽くなることがあります。体が温まるとかゆみが強くなることもあるため、入浴はぬるめのシャワーで済ませるようにしましょう。就寝時も、汗をかかないような寝具にしたり室温を調整したりしましょう。